広さ、大きさ、ゆとりに圧倒される。成田空港に取り入れたいものが多数あった。

1. 仁川国際空港

例えば、長時間の待ち客用の仮眠所、だれでも弾けるピアノ。また、ライブでの踊りや演奏もできそうなステージ、暇つぶしの無料のゲーム、2種類のWiFi、充電可能な椅子。案内ロボットとその充電器、対応言語20か国語の通訳ボランティア(4500人)、細かく見ればほかにもありそうだ。

我々が訪れた第2ターミナルは平昌オリンピックにあわせて作られたと説明されたが、既に第3ターミナルや第5滑走路も計画されており、島全体の計画が出来上がっている。しかも一般の乗客にも理解できるように、ジオラマやビデオなどで紹介する施設もしっかりしている。

利用客(周辺住民も含め)に事前に計画全体を告知しているところは成田としても見習うべき点である。周辺に民家と思われる建物もなく、権利関係の複雑さも無いようだ。内陸型空港の成田との違いが歴然としている。

物流コンプレックス建設工事も(第3期)進行中であり、旅行・ビジネス客のみならず物流での売り上げ目標もしっかり計画している。

果たして成田はどうなのか知りたい。特にやっとスタートした新市場との連携や輸出入計画など、連携して強化推進する必要性を実感した。

免税店の価格にご注意。免税店で大韓航空の機内免税店の20%以上も高いスコッチを買ってしまった。残念。

2. IRパライダイスシティー

北東アジア最初の韓国型複合リゾート施設(東京ドーム7個分)であるが、日本の法人セガサミーが運営している。カジノはヒルトンホテル(ソウル市内)のものより上質であった。

スパ、プール付きホテルの部屋、ミニボーリング場、プール(屋内外)などの他、草間弥生の芸術作品、ほか2700余点の芸術品を展示してあるそうだ。会議場、大広場、個別のアトラクション施設もあり、一歩進んだリゾート施設を実感した。何より、現地まで無料のリニアモノレールが走り、無料ツアーを実施しているところは成田でも即活用できると感じた。

滞在時間24時間以内の旅行客のみを対象としたサービスである。所要時間は1時間から5時間、8コースがあり、トランジット客のニーズに対応している。

また、カジノはセガサミーの社員が自ら各種ゲームのデイーラーの勉強をして、その技術を学んでいる。日本でいずれ開発される段階では、海外従業員ではなく、日本人の直接運営も可能となる。

韓国内の内陸カジノでは依存症者が多数発生し、一家離散などの話も聞くので、依存症対策は万全を期す必要を感じた。

3. 市民参加予算制度(ソウル特別市)

韓国独特の市民の力、が現れた制度と理解した。行政、政治よりも民間、特に平均的庶民のための制度である。民意を反映させるために、全自治体で参加予算制の導入が義務付けられた。

一見、市民民主主義の成果のようにみえる。しかし、そこに関わっている人数と時間と費用の割には全体予算に対する比率(全体の2%以下)が小さい。少なく留めるのが当然とも思える。

つまり、英国のEU離脱のように一時的に誤った決断をしてしまうリスクを感じた。イギリス市民の多くが離脱賛成に投じ、その後の現実を見て後悔していると聞く。一部の地域の利益が多くの他地域の不利益に繋がるリスクである。しかも、最終段階では他の予算案件と同様に議会にて賛否を問う事となり、すべてが0となる事例も出てきているようである。

成田においては、各地域の区長経由で細かな要望が出されており、その実現もよりスムースに行われていると感じた。

また、議員の活動も、その地域代表として動くのか、市全体の代表として行動するのか微妙な立場となる。

4. 多文化家族支援基本計画

韓国の人口・労働力環境も、少子高齢化が進んでいる状況で、基本的には移民政策の必要性を感じている。

特にソウル市においては4.2%が外国人で、西南地区の3区においては10%を超えている。トラブルも発生している模様。

そこで、市として専門部署を創設して多文化家族政策討論会等を開催し、対応を始めているところだと言う。 

 本邦の新制度(改正入管法)は 以下の議論が足りないと感じさせられた。

  • 外国人がその育った文化習慣に対する対応の仕方。当然日本において生活する訳であり、自国の習慣に近づけ、その文化にも時には触れたい。
  •  言語については、日本語(漢字の使用を含め)を徹底的に教育するのか、共通の言語と     して英語でも良しとするのか。
  • 労働者の家族の扱い、公立小学、中学、高校での対応など。
  • 社会保険と保証、年金、労災、
  •  選挙権や国籍、永住権などの人権の取り扱い方。

成田市役所内でも同様の部署が必要ではないか。その上で、支援団体の設立(ないし指導)が必要と考える。